あと数十年後に皆さまが生活されている場所で自分自身を表現できる機会、
あったらいいな、と思いませんか?
もういくつ寝るとお正月♫
そろそろ年の瀬を間近に感じるある一日、今年最後のアートセラピー
クラス@高齢者介護施設を開催しました。
テーマは「未」 来年の干支です。

wikiによりますと「群れをなす羊は、家族の安泰を示しいつまでも平和に
暮らす」事を意味しているそうです。
私が担当しているクラスはこの施設の中でも最も介護度が高い皆さま。
このクラスのファシリテーターを担当させていただいてから1年5カ月、
サポートとして入った頃から数えるとなんと3年9カ月にもなります。
これだけの期間続けていると以前はご自身で作品を作ることができた方
が自力での制作が難しくなる・・・ということが増えてきます。
それでも「これは自分の表現だ!」と感じていただけるように・・・プログラム
作りは毎回悩みます。
またこのクラスは人数が多く、1ヶ月に1回だとなかなか名前と顔が一致しなくて・・・
というサポート仲間の声を受けて今回は始まる前に入居者の皆さまの特徴を
シェアしました。
・○○さんは右耳からお話しすると聞こえやすい
・□□さんは以前編み物をされていたそう
・△△さんは時々席を立たれることがあるけれど無理に引き止めない
(大体一回りすると戻ってこられる)
・◇◇さんは眠られているようでも聞こえているし、気配をキャッチ
されている
等々・・・
(実際にはもっと細かくシェアしていましたがここでは割愛いたします^ ^)
事前にシェア用のメモを書きながら皆様の顔を思い浮かべる時間もまた
楽しいものでした。
そんな風にこちらは準備万端!
そして今回改めて私自身が意識したのは「笑い」の力。
笑うことで病気も治癒する?!という話を聞いたことがあります。
この現場でも体調が良くなかったり気力が落ちてしまい、口調が荒く
なられる方もいらっしゃいます。
そういう方に、真剣に向き合う・・・のはもちろんですが、深刻になりすぎ
ない。私が指導していただいている先生や職員さんはこのあたり熟練
されていてさすがプロフェッショナル。
その方の発言をきちんと受け止め、最終的に笑いというか発散のエネルギー
に変わっている。
前回、クラスの間中、とても強い口調で発言をされていた方がいらしたので
その方のエネルギーをポジティブに発散できたらいいなと考えた結果の
結論です。
そのM様。前回ほどではありませんが今回も気が進まない、との発言があり
内心凹みましたが笑顔笑顔!
ちょうど私に対して机の長辺の反対側に座られるM様の強い視線を感じる
度に笑顔で「M様見てますよ!」のサインを送り続けます。
すると体操では大きく体を動かされたのですかさず「M様、大きく腕が上がって
ますねーー」と一言。
この頃にはお部屋に戻りたい発言はもうありません。
制作に入ると、M様最初は様子見といった感じでしたが、「○○さんの作品です、
こんな作品をつくってくださいましたー」といくつかご紹介(全体に向けつつM様が
見えるようにして)すると、ご自身でもイメージが湧いてこられたのでしょうか。
自ら手を動かして作品を作ってくださいました!
それがこちら。

実は前回、「これは私の作品じゃない!」とおっしゃっていたM様。
今回は、作品の真ん中に、ご自身の名札を置かれたそうです。
「これは私の作品」と感じてくださったのかな・・・と感激もひとしおです。
そして皆様の作品。

お気づきになられますでしょうか?実は1点羊っぽくない作品があります。
それがF様の作品。
F様は目を瞑っていらっしゃったのですが、仲間の一人が綿をお渡しした
ところ、ギュッと強い力で握りしめてくださった。
その綿を受け取ろうとしたところ強い力で拒まれたそうです。
綿の感触をまだ楽しんでいたいのかな・・・としばらくそのまま握って
いただき、その後お受け取りした、そのまんまのカタチを作品に。
関わっていた仲間曰く「羊のカタチにしなくていいと思った。F様の
力のままを作品にしようと思った。」とのこと。

もちろん、来年の干支で家族の安泰、平和に暮らす、という意味も込めて
最終的に作品として羊のカタチにする、というのは一つのやり方です。
しかし、F様ご自身の力では羊を形作ることは難しい。
一方でF様にはご自身が握りしめている綿の受け取りを拒むほどの
強い力をお持ちです。
その力そのままが作品になること。それが”アートセラピー”たるゆえん
かなと思うのです。
今後ますます作品は抽象的なものが多くなってくるかもしれません。
しかしカタチはどうあれ、その方が、「これは私の表現」と感じていただける
ような場づくり、プロセス、そして作品制作を大切にしたいと改めて感じた
時間でした。
お陰さまで、年内最後のクラスは満員御礼。
この羊たちのように皆さまもどうぞほっこりあたたかい気持ちで年を越して
いただけますように


☆ Life with Art ☆